〼ぼたもちの如き計画

来年の事を言えば鬼が笑う、という諺をご存知ですか。

どうなるかわからない未来の話をすると、鬼もおかしくてせせら笑う、というような意味です。笑ったり泣いたり、鬼も大変ですね。

ところで、みなさんはいつ小説家になるか決まっていますか?

ふむ、十代のうちに華々しくデビュー、三十までにはなんとか、来年こそはきっと……おっと、どこかで鬼が聞いているかもしれないのでお静かに。

未来の自分に期待するなとは言いませんが、期待しすぎるのは考えものです。


例えば今あなたが狙っている新人賞の締め切りが三月末だとしますよね。もう書いてるかもしれませんが、今から白紙の原稿に向かうと仮定して、いつごろまでに仕上げられるでしょうか。

えっと、計算してみましょう。いまからだと結構ギリギリなスケジュールですね。推敲の期間も最低一ヶ月は欲しいから、初稿の締め切りは二月末。11月11日現在からカウントすると残り109日です。規定枚数は500枚なので、500枚以上は書きたい。となると、一日四枚半、毎日五枚くらい書けば間に合うぞ。

あ、鬼が見てます。その計算機を早く隠して。

計画を立てるとき、人は己の力を過信しがちです。甘党でも胸焼けがするくらい甘い見積もりを立てます。

反論する前に一つ喩え話を。

ここに学生A君がいます。彼は課題の提出を求められ、最短で何日かかるか、さらに最長で何日くらいかかるのか訊ねられました。

A君の答えはこうです。

「最短だと20日くらい、最長でも50日くらいですね」

電卓片手にメガネをクイッと上げるA君は、余裕をかましているわけではありませんが、自信満々です。シビアな計算に裏打ちされた20日という数字。その倍以上のプラス30日という猶予期間。ちょっと50日は長すぎたかな、と内心反省したくらいです。

ところがどっこい。彼が実際に課題を提出したのは80日後でした。これには鬼も笑い転げるしかありません。


架空の人物A君の話なのでピンとこないかもしれませんから、私に置き換えてみましょう。

上記の応募原稿執筆計画を私が掲げていたら、あなたはどう思いますか?

「こいつズボラそうだけど、一日五枚も書けるのか。ほんとに大丈夫かよ」

とせせら笑うことでしょう。(ひどい!)

自分も似たような計画を立てているくせに、人の計画を見ると甘いなと感じる。つまりそれは自分の甘さを棚上げしてるということです。棚の上にぼたもちです。ぼたもち落ちない。腐るだけ。

未来の自分と今の自分は別人ではありません。今日出来ないことが明日や明後日ならたやすく出来ると思うのは錯覚です。もう2018年も終わりますけど、新年に掲げた目標は達成できそうですか?

とまあ辛口になってしまいましたが、私も人のことは言えません。いつかやるぞと決めていた勉強は案の定、いまだ手付かずのままです。

じゃあ計画を立てるのは無駄なのか。ノープランでいけというのか。と突っ込まれそうなので、解決策を一つ提示しておきます。

先ほどのA君への質問をちょっと変えてみると、彼はほぼ正確な日数を割り出すことが出来ました。

「同じ課題をB君がやるとしたら、どれくらいかかるかな?」

と訊いてみたのです。

自分にはつい無意識に甘くなってしまっても、他人のこととなると現実的に考えられるというわけです。

なので計画を立てるときは、あの人ならどうだろう、と客観的な視点に立つことが効果的です。他人のスケジュールを作るつもりで、甘さを排除しましょう。

ま、私はノープランでいきますけどね。私の中で飼っている鬼、喜怒哀楽が激しいので。キングボンビーかってくらい邪魔してきます。気にしてたら一文無しです。ゲームと違うのは、意識しなければ無害ということでしょうか。

とりあえずサイコロを振ることだけに集中しましょう。何回でも振れますからね、これ。コロコロコロ。なにがでるかな。