〼歌詞のように書けるなら

歌詞と小説は似て非なるものです。対極と言ってもいいかもしれません。とはいえ参考になる部分は大いにあります。

曲はAメロやBメロ、そしてサビなどで構成されています。その時点でだいぶ小説とはかけ離れてますね。

大きな違いは二つ。歌詞は散文的になってはいけない。そして大事件が起こってはいけない。

散文的というのは要するに、小説のような文章のことです。歌詞は瞬間を切り取るものなので、そういう文体は適していません。

たとえば、Aメロとサビをリンクさせるとき、Aメロで歌うのはサビに至る理由ではなく、サビの感情を引き起こされた瞬間を書かなければいけない、という具合いです。

たとえば「悲しい」とサビで歌いたいなら、Aメロで「君に振られたから」という何時間も何日も何年も経過しているような過去の原因を書くのではなく、「君宛の郵便が届いたから」と、悲しいという感情が湧いた瞬間の出来事を書かなければいけないというわけです。


そして主観を交えてはいけません。寂しそうに笑うとか、狭いアパートとか、恐ろしい熊とか、寂しそう狭い恐ろしいはみんな主観です。

客観的に書くならば、目を伏せて笑う、シングルベッドしか入らないアパート、口の周り血まみれの熊、といった感じでしょうか。熊はもうシンプルに「熊」と書くだけで怖いですけど。

主観と客観で言えば、視点も客観的な方が好ましいですね。作者の顔が透けて見えるようでは、読者に共感してもらえません。読者、もしくはキャラクターと同じ目線で語らなければ、互いに向い合って話すことになり、どうしても説教になってしまうんですよね。このブログの記事みたいに。(反省してます)

あとは、無理に事件を起こさない。演出過剰にしてはいけないということです。悲しいときに雨が降ったり、約束のあの場所に一人で出かけたり、そういう手垢がついてるのにリアリティのない表現は、歌でも小説でも鼻白むものです。

サビも同じです。テーマと置き換えてもいいでしょう。あんまり大げさにし過ぎると陳腐になりやすいです。愛とか平和とか。あえて過剰な演出を盛り込みまくってハマれば強いですけど、たいてい失敗に終わります。

しかし小説はその性質上、散文的にもなりますし、まさかの大事件だって起こります。切り取る範囲が違いますから。音楽は瞬間を歌い、小説は人生を描くもの。そして音楽はチームプレーであり、小説は限りなく個人プレーでもあるからです。そりゃ多少は説教臭くもなります。

だけど心に響く、共感してもらえる小説を書きたいなら、歌詞の手法は参考になるのではないでしょうか。

独りよがりになり過ぎないように気をつけましょうね、と作者目線で言うのは反省の色なしと取られても仕方がないので、独りよがりにならないように気をつけますごめんなさい。と頭を下げて締めくくりたいと思います。

ご傾聴ありがとうございました。