〼梗概の書き方を教えてください

今回は梗概の書き方について。

ようやく小説も書き終わった。推敲も完璧。さあ応募しよう。という段になって最後に立ちはだかる壁。梗概。新人賞応募経験者は躓いた覚えがあるでしょう。

真相は定かではないんですけど、下読みさんはこの梗概を読んで作品を落とす、まではいかなくとも、期待値のランク付けをして、面白そうな作品から先に読む傾向にあるそうです。

だとしたら手を抜くわけにもいきません。だって絶対はじめの方に読んでもらったほうがいいですから。お笑いのコンテストとかと違って、一つ一つの作品に時間がかかりますからね。審査員だって後半はクタクタです。抱腹絶倒のネタも、寝ぼけて耳に入らないかもしれません。

というわけで梗概を書かねば、となるわけですが、こればっかりは要領のいい人でも、作品を完成させる前に書くわけにはいきません。

いや、どうでしょう。先に梗概を書けという方もいるかもしれない。

とはいえここはひとまず作品は仕上がっているものとして、たまにはセオリー通り最後に梗概を書いてみましょう。

作品を作るときはプロットを元にしますよね。じつは梗概も、プロットを元に書くと楽ちんです。物語の骨子がプロットですから、わざわざ抜き出さなくても、骨子そのものを用いればいいわけです。

これが作品を完成させる前から梗概が作れる理由にもなります。極端な話、プロットさえ出来てればその時点で梗概もレビューも宣伝もできちゃいますからね。


しかし、しかしですよ。みなさんはプロットを作ったら、最初から最後までその通りに書けますか。良さそうなシーンや魅力的なキャラを思いついても、それを無視して先に進めますか。

脱線し過ぎもよくありませんが、ずっとレールの上を走ってるのも退屈ですよね。

完成した作品はおそらくほんの少し、当初の予定と外れていることでしょう。となると、最初に書いてしまった梗概は修正せざるを得ません。これはめんどい。

それなら作品から骨子を抜き出す作業のほうがまだ簡単です。

それに掘り出す場所はわかっています。プロットを作るときに神話の法則を使ったでしょう。まあ使っていなかったとしても、神話の法則に照らし合わせれば、どこを抜き出せばいいのかわかるはずです。

つまり物語からプロットを抜き出し、それを整えるだけ。それだけで梗概は完成します。やったね。


というわけで以前発表した水流のロックの梗概を書いてみたんですけど、自信ないなあ。梗概独特のそっけない文体がよくわからない。勉強不足です。

下読みさんが真っ先に読みたくなるような梗概を書けたらいいんですけどね。

 夢を失い、住み込みのブラック工場で退屈な日々を過ごす滝。隣で作業をする男、川井の足音だけが気障りだった。
 その足音がバンドマン時代によく聴いていた曲、ジョー・レインマンのBack Flowであると気付いた滝は、スパナとコンベアー台をドラム代わりに演奏してやり返す。しかし川井からは賞賛され、逆につきまとわれるようになってしまった。
 川井は独学でタップダンスを練習していた。一緒に世界を回ろう。と誘う川井を滝は突っぱねる。二人で逆流を起こそう、という言葉に、かつてのバンドメンバー、天知を思い出す。才能はあったのに努力をせず夢を捨てた天知に失望し、滝は音楽を諦めていた。
 工場には洗脳BGMが流れており、みんな操られて仕事をしている、という川井の話が気がかりで集中力を欠いた滝は、雑念を振り払うためにまたスパナでドラムを演奏してしまい、音楽を捨て切れていないことを知る。
 天知と違い、努力を厭わない川井に滝はしだいに心を開いていく。しかし、もういちどドラムを演奏してくれという川井の願いには頑としてうなずかなかった。
 あるとき食堂でのいざこざで川井の音楽プレイヤーが壊されてしまう。それ以降、川井は作業中にタップダンスをしなくなる。失望しつつも滝は、もとの単調な日々に戻っていく。
 休日にうっかり早起きしてしまった滝は、廊下に響く足音を聞き、娯楽室でタップダンスの練習をする川井を発見する。夢を諦めず、人知れず練習していた川井の姿に滝は心を打たれる。
 しかしその後、工場の不正を知った川井は手紙を残して消えてしまう。滝は仕事を放り出し駆けつけたが、間に合わず川井は手に怪我を負ってしまう。
 滝と川井は協力し、ドラムとタップダンスの演奏で従業員たちの注目を集め、怪我をした手を掲げ工場の実態を暴く。
 そこにかつてのバンドメンバー、天知が立ち塞がる。滝は音楽で天知を退け、川井と共に逆流を起こし、夢を取り戻す。
 工場に勝利し、川井と別れた滝は、物置で眠っているドラムと再会を果たすために実家に戻った。伝説を作ろうと誓ったあの日の夢を、今度こそ本当にするために。