〼誰にも言わない私の夢を

夢や目標は周りに宣言したほうがいい、とまことしやかに囁かれています。

この中に小説家になるという夢を公言している方はいらっしゃいますか。家族親戚友人知人他人、みんなに言いふらしてるぜ、という方がいたら逆に尊敬します。それで小説家になれるかどうかはともかく、心臓に毛が生えていることは間違いないので、どんな困難もものともしないでしょう。

私ですか?

私はボブにしか言っていません。噓つきました。別れた昔のパートナーにも打ち明けたことがあります。どちらにせよ私は、この人なら応援してくれるだろうと確証が持てる相手にしか、夢を語る気はありません。

このブログはどうなんだ、と突っ込まれると痛いですが、まあ、私は別に夢を言い振らせば叶う信仰を当てにして記事を書いているわけではないので、ご勘弁を。

小説家になりたいと宣言して、相手が応援してくれる確率は二割あればいいところです。サラリーマンになって安定した暮らしがしたい、なら八割以上の方が応援してくれるでしょう。

安定こそが最善だと考えている人々に、不安定の代名詞のような小説家という職業を掲げれば、集中砲火を浴びることまちがいなしです。

どんな反応が返ってくるか、想像できない人はそもそも資質がないのではありませんか。今は出版業界も不況ですし、小説で一生食っていくことなんて不可能ですよ。小説家はクレジットカードの審査も通りませんし、第一、売れるまでの生活はどうするんですか。フリーターやりながら書き続けて、もし小説家になれなかったら、何も残らないんですよ。そこから就職なんて絶望的です。待ち受けているのはホームレスになって冬の公園での孤独死という暗い未来だけです。


なんてことを、おそらく言ってくるでしょう。私はそんなこと言わないのでご安心を。


価値観がそもそも違う相手を説き伏せるのは、かなり骨が折れます。相手側のほうが絶対的多数ですし、声を大にして相手の考えを変えるスキルで言えば、到底私たちでは太刀打ちできません。

結果、こちらが意見を変えざるを得なくなります。小説家なんてひと握りの人しかなれない非現実的な夢だよね。と自分の心を押し殺して、安定という退屈地獄で生きていくはめになりかねません。

私としてはそっちのほうが怖い。何を言われても動じない鋼の心があればいいんですけど、あいにく心臓は永久脱毛済みですし。

周りに言ったほうが叶いやすい、というのは、夢の種類によりけりです。少なくとも小説家は猛反対される可能性が高いので、胸に秘めておくのが無難です。

私は小説家になる。私だけがそれを信じていればいいんです。というわけで、いや小説家なんて無理でしょ現実見ろよ、と思う方は今回の話は聞かなかったことに。